平屋の良いところ
もう30年以上昔になるが、私の親はその当時住んでいた家について、
「東南角地だから日当たりが良い」
「学区の公立の学校に悪い評判がなかった」
「(閑静な)住宅街である」
「狭いながらも庭がある」などとよく言っていた。
そこは典型的な東京のベッドタウン。
戸建住宅ブーム時の宅地造成によって出来た住宅街で、
等間隔に同じような家が並んでいるところだった。
私が今住んでいる、京都市内の平屋を見たら親は何て言うんだろうか、
と時々思う。
隣家とは殆どくっついているし、そもそもが狭い路地のドンつきに位置している。
家の中は暗くはないのだが、直射日光はほとんど入らない。
親からみたらデメリットだらけの家なのかもしれない。
だけど住んでみてはじめて気づいた良いところもある。
それは「風」だ。
平屋で路地奥だから強い風はあまり入ってこない。
だからといって風通しが悪いわけではなく、
レースのカーテンがふんわりと丸く持ち上がるような優しい風が通り抜ける。
数万円もする高い扇風機が作りだすような風が、ウチではタダだ!
などと貧乏くさいことを思ってみたりする。
ここに来る以前住んでいたのはマンションの低層階だったが、
今思えば強すぎる風が悩ましかった。
風が強いからと窓を細目に開けると、ぴゅうぴゅうと風切り音が気になったり。
いまはやりのタワマンなどでは風当たりが強すぎて
そもそも窓はなかなか開けられなかったりするんじゃないだろうか。
24時間換気とエアコンがあるからノープロブレム?
それもそうかもしれない。
けれど平屋の微風にはプライスレスな価値がある、と思いたい。